日本促通反復療法研究会の設立のご挨拶

会長下堂薗 恵
日本促通反復療法研究会は、促通反復療法の治療理論と治療技術の普及を図り、関連領域におけるリハビリテーションの質の向上と発展に寄与することを目的として、2025年に設立されました。
本研究会は、促通反復療法を既に実践している、あるいは今後その修得を目指す理学療法士・作業療法士・医師を会員とし、主催する実技講習会を通じて、促通反復療法に関する専門的な知識と技術を臨床に正しく活かせる人材の育成を目指します。そして、促通反復療法を通じて、片麻痺に対するリハビリテーション治療の質の一層の向上を図ってまいります。
本研究会設立の趣旨をご理解の上、多くの療法士・医師の専門職の皆様に参画いただけるようよろしくお願い申し上げます。
促通反復療法
促通反復療法とは
促通反復療法とは、主に脳卒中発症後の片麻痺などの運動障害に対して行われる運動療法です。
「麻痺した腕や手を思い通りに動かしたい」、「自分の足、安全に、楽に歩けるようになりたい」と願う患者さんの思いに応えるべく、本研究会顧問である 川平和美・鹿児島大学名誉教授(リハビリテーション科専門医)により1990年代に考案されました。
2006年には「『片麻痺回復のための運動療法−川平法と神経路強化的促通療法の理論−』(医学書院)」によりその理論と実践が体系化されました。2017年には第3版『片麻痺回復のための運動療法−促通反復療法「川平法」の理論と実際−』に改訂されています。「『片麻痺回復のための運動療法−促通反復療法「川平法」の理論と実際−』[DVD付き]」
![片麻痺回復のための運動療法[DVD付] 第3版 | 書籍詳細 | 書籍 | 医学書院](https://www.igaku-shoin.co.jp/application/files/8616/0458/3476/89026.jpg)
また、2022年には英語版が出版されました。

川平和美教授による有資格者への「促通反復療法」指導の様子


動画で見る促通反復療法
患者さんの声
促通反復療法を実際受けられている患者さんの声を動画でご覧ください。
促通反復療法の特徴
促通反復療法 (Repetitive Facilitative Exercise; RFE) の治療理論は、“促通手技による意図した運動の実現”と、その運動の“集中反復”との相乗効果により、麻痺した上肢・下肢の運動に必要な神経回路、特に運動性下行路の再建、強化を図ることにあります。
治療では、
(1)治療者による促通手技(独自の徒手的な操作や刺激による伸張反射や皮膚筋反射)と、
(2)患者自身の「動かそう」とする運動意図とを、
(3)口頭指示や患肢の注視などを通じてタイミングよく同期させ、随意運動の実現を目指します。さらに、その運動を定着させるため、1部位あたり100回を目標に、数分間で集中的に反復します(図)。

この療法は、上肢・手指・下肢・歩行など麻痺の状態に応じて多様な適用があり、その正確な施行には信頼できる指導者のもとで十分なトレーニングを受け、臨床経験を積み重ねることが不可欠です。
また、促通反復療法は基礎的な運動療法であり、電気刺激、振動刺激、ボツリヌス療法、ニューロモデュレーション治療など、さまざまな治療法との組み合わせ(併用)による応用も進められ、発展を続けています。
事務局概要
- 組織名
- 日本促通反復療法研究会
- 所在地
- 〒890-8520
鹿児島県鹿児島市桜ヶ丘8-35-1
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科リハビリテーション医学 内 - 連絡先
- 当会へのご連絡はコンタクトフォームをご利用ください